乙部岳(1,016.9m)は、渡島半島の中央部に位置した千メートル峰で、秋は道南屈指の黄葉・紅葉が美しい。見事な展望も魅力なのだが、天候は日本海側と太平洋側からの影響を受けるため、なかなかすっきり晴れることがない。今回も青空はなし。雲海と色彩豊かな秋山を堪能してきた。参加者は16人。
道の駅「あっさぶ」で車を調整し、5台に分乗して登山口に向かう。「沢コース」登山口を07時45分に出発。最初は、道南らしい杉林を進む。
暫くして、姫川上流の沢を対岸に渡る。昨日の雨も、この付近ではごく少量。沢の水量はほぼ平常で、助かった。
「行者洞(ぎょうじゃあな)」前で休憩。洞内の説明板に「その昔、九郎嶽社の宗信者が身を清めるために一夜を明かしたところ」と記されている。なぜか、酒瓶とホタテ殻が転がっていた。
二度目の渡渉箇所を過ぎてから、左手の尾根の岩壁が望めた(「尾根コース」はあの上を通っている)。
三度目の渡渉になると、沢の水もぐっと少なくなる。この辺りは、まだ緑色の葉が多い。
二股となって中間の小さい尾根に取り付くと、主に黄葉、ときどき紅葉が目に入る。ちなみに、この小尾根の標高差は430mほどあり、稜線直下まで急登が続く。
稜線が近づくと、このコースのシンボルである岩塔「天狗岩」が現れる。
岩塔を過ぎるとようやく傾斜が緩くなり、稜線が近いことを教えてくれる。
薄日が射すと、ナナカマドの実が美しく輝く。
振り返ると、日本海側は一面の雲海。
稜線に出ると、東方向に駒ヶ岳が見えた(左:砂原岳、中央:剣ヶ峰、右:隅田盛)。写真には写っていないが、やや左の手前に狗神岳(899.5m)と思われる特異な山稜も望めた。
稜線の右側(東側)は雪崩斜面が切れ落ちている。「岳の沢」上部の樹林に薄日が射して黄葉・紅葉が美しい。
尾根コースとの合流点を過ぎ、頂上への稜線を進む。時折、左側(日本海側)から霧が流れてくる。
頂上近くから、もう一度「岳の沢」上部を俯瞰する。
12時15分、頂上に到着。チシマフウロの紅葉が出迎えてくれた。
昼食中ときどき霧が薄くなって、国土交通省のレーダードームが全容を現す。
山頂で集合写真を撮り、12時55分に頂上を出発。
黄葉の尾根コースを下る。
カエデの葉のグラデーションが面白い。
ツツジ類の紅葉も見られた。
尾根コース中ほどの平坦部(C680m~C700m付近)にはブナ林が広がっている。
連絡コースの分岐を過ぎた急な下りに、名残のエゾミヤマリンドウが咲いていた。
二合目付近で、「OKサインの木(仮称)」の下を通る。
15時20分、尾根コースの下山を終了。九郎嶽神社(奥院は尾根コースから連絡コースに入った所にある)の鳥居の注連縄も「OKサイン」。ここから駐車場までは、林道を400m弱歩くだけである。
登り4時間30分、下り2時間30分のペースだった。駐車場で挨拶のあと解散し、車ごとに「乙部温泉」や「うずら温泉」で汗を流して帰宅した。
今回はリーダーが2人だけだったのでベテラン男性2人に手伝ってもらい、16人を2つのグループに分けて目配りできる体制を試みた。渡渉が容易だったためメンバーのサポートはあまり必要なく、列の間隔が大きく開くこともなかったので、うまく機能した感じはなかったが、必要に応じて試しても良いと思われる。