北斗市の旧大野町地区から江差町方面に至る国道227号線に架かる天狗橋付近で、北方から流れ下った中二股沢川が大野川に合流している。この沢の源頭にある標高818.2mの無名峰を、山仲間では「中二股岳」と呼んでいる。周囲の山々より頭一つ抜け出す高さで三角錐の頂部を持つ姿は、大野川を挟んだ北斗毛無山からも指呼できる。沢の左岸に沿う荒廃しつつある林道を辿り、終点手前から尾根に取り付いて山頂を目指した。参加は、ニューフェイスを含む会員14名とゲスト1名の、計15名。
8時5分、林道入口ゲートを出発。20分ほど登ると、灌漑用水と上水道用水の取得を目的とする大野ダムの堰堤に到着する。この堤上からダム湖上流に、中二股岳を望む。
同じく大野ダム堤上から下流、国道227号線が通る大野川の谷を挟んで、その形どおりの三角山(605m)。
上流に向かう林道がダム湖畔を大きく回り込む箇所で、右斜面から落ちた雪崩の雪塊が被っていた。大きな振動を与えないよう、一人ひとり慎重に通過する。
春の陽射しを受けた本峰を仰ぎながら、林道を辿る。
林道脇にあった水たまりで蛙の卵を発見。春の気配、生命の息吹。
斜面からの落石が林道を一面に覆っていた。この林道は、崩壊が年々進んでいる。
林道終点の手前、C460m付近から残雪をたよりに尾根に取り付く。ここから女性のMリーダーが先頭に立つ。
取り付いた尾根には、ブナの大木が根明けを広げている。
尾根上、C660m付近の緩斜面を進む。軟らかな陽射しもあって、春の気分に満ちている。
尾根の上部、沢源頭を挟んで左に本峰を仰ぐ。右斜面のコブを越え、いったん下って頂上へ続く。
C710mコルから本峰前衛の760mポコに向かって、たおやかな斜面を登る。
斜面上から振り返ると、東方向に二股岳(右、825.6m)、三九郎岳(802m)と傍の最高点(左端、817m)が望まれる。
南東方向に北斗毛無山(左、750.4m)を望む。右手前は大野ダム湖。
東北東方向に北海道駒ヶ岳の最高点・剣ヶ峰(1131m)。
760mポコから間近に迫った本峰を仰ぐ。山頂手前(東側)の斜面には、崩壊しつつある雪庇のブロック塊が認められる。
山頂に続く最後の斜面を登る。
11時40分、山頂に到着(登り3時間35分)。ランチタイムとする。
山頂には、1.5mほどの厚みがある雪庇のブロックに幅の広い亀裂が入っており、笹原の上で不安定な状況になっていた。
新雪が薄く被さった雪面をストックで突くと、上記からさらに繋がった亀裂が正体を現した。この線から前方に足を踏み入れるとブロックが崩れる恐れが高いので、決して踏み込んではならない。
山頂から東北東方向に北海道駒ヶ岳を望む。中央に剣ヶ峰(1131m)、左に砂原岳、右に隅田盛。
東南東方向に二股岳(825.6m)と横津岳(奥、1167m)。
山頂での集合写真を撮り、12時15分に下山開始。
760mポコの下りでは、豪快な尻滑りが楽しめる。
帰路、長い林道歩きを癒してくれるかのように、三角山が迎えてくれる。
14時30分、林道入口ゲートに到着(下り2時間15分)。リーダーからの挨拶を終えて、車ごとに解散した。
二年ぶりの中二股岳は、一時的に上層雲が広がった程度で穏やかな天気に恵まれ、長い林道歩きも苦にならなかった。アプローチの林道の崩落がこれ以上進まず、これからも心地良い春山トレッキングを提供してくれるよう願いたい。