平成最後の山行は、函館市の最高峰である袴腰岳(1,108.4m)。消えゆく雪を楽しみながら往復した。参加は16名。
最終ゲート(C970付近)手前の駐車場で出発準備を整え、リーダー(今回のチーフはOnさん)から注意事項や天気見通しについて説明。
8時50分、駐車場を出発。巻層雲が広がる薄曇りの空に、低気圧の接近を知らせる日暈が架かっていた(太陽の左から下にある細い「影」はカメラのゴミ)。早ければ14時頃、遅くとも16時頃には雨が降り始めるという予想の元に行動する。
車道を辿ったり雪面を歩いたりしてC1076付近まで来たところで、地形図と方位磁針を出して読図のミニ講座。このあと、東方向の烏帽子岳(1,078m)に向けて雪面を進む。正面に烏帽子岳と袴腰岳が重なって見える。
C1050~C1100の緩斜面は雪が消えて、ほぼ笹原となっていた。等高線に平行する直進ルートは諦めて、稜線上の夏道に向けて少し登る。
右手に、津軽海峡をはさんで下北半島が望めた。恐山周辺の山々や、半島北東端の尻屋崎も。
気象レーダーから300mほど烏帽子岳寄りの地点で夏道に上がると、北方にうっすらと羊蹄山(左、1,898m)と有珠山(中央手前、733m)が見えた。
夏道に沿って進む。第一湿原の手前に雪は無く、第二湿原の手前は雪原になっていた。スノーシューやかんじきを携行したが、つぼ足で十分だった。
10時30分、烏帽子岳に到着。風はやや強かったが、展望は割合にきいた。山頂から反時計回りに撮った展望をお楽しみください。始めに北西方向の駒ヶ岳(1,131m)。
南西方向には、桂岳(右、733.6m)と遠く大千軒岳(左奥、1,071.9m)方面の山々。
南に、庄司山(570.3m)、函館山(334m)と函館市街地を俯瞰する。右端の港町ふ頭に、この日に入港した4万8千トンのクルーズ客船が見える。
それと、雁皮山(743.3m)。遠景は下北半島。
南東方向には、三森山(842.1m)と毛無山(630.6m)、三枚岳(585.6m)、恵山(617.6m)、古部丸山(691.0m)のそろい踏み。
そして東に、目指す袴腰岳。
烏帽子岳からコルに向かう斜面は残雪が少なかったが、少しだけシリセードが楽しめた。
コルから振り返ると、烏帽子岳斜面の雪と笹のグラデーションが美しい。
袴腰岳の肩に上がると、北に鹿部丸山(909.2m)の広い頂き。遠景は噴火湾対岸の室蘭方面。
北東に、熊泊山(左、817.9m)と双耳峰の泣面山(本峰は左、834.9m)。
11時30分、袴腰岳頂上に到着。全体写真を撮ってから昼食とする。
12時5分、山頂を後にして僅かに行くと、足元に可憐なヒメイチゲが数輪咲いていた。今回の山行で見かけた、唯一の花。
横津岳方面の緩斜面は、雪と笹が縞模様を描いていた。
気が付かないうち、噴火湾に背の低い層雲(底が海面に接していれば「海霧」)が侵入してきた。冷たい海面上を吹き渡る空気の温度・湿度が高くなってきたのだろう。低気圧に伴う温暖前線が近づいていることを知らせてくれた。
14時ちょうど、駐車場に到着して登山終了。登山装備を解いていると小雨が降り出してきたが、行動中は雨に当たらず展望も利いて、幸運に恵まれた平成最後の良い山行になった。