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2019年06月30日

函館山楽クラブ月例会での学習資料(2019年6月・7月)

屋外で雷を避けるために
~上記学習会の資料を掲載しました~

1.雷雲の地理的分布と背丈
全国的に見て北海道の雷日数は少ないが、函館市は割合に多い[図1]。
雷雲(積乱雲)の背丈は、夏で7km~10km超、冬は3~4km(主に日本海側で発生)。
函館山楽クラブ月例会での学習資料(2019年6月・7月)
図1 北海道の主な都市の月別雷日数の平年値(気象庁資料、A編集)

2.雷雲の構成
雷雲は雲の単位(セル:細胞)で構成され、次の三種類がある。
①単一セルだけの雷雲(成熟期の直径は4~10km)
②次々と多数のセルが発達する雷雲(多重セル)
③多数のセルが同時に活動する広域雷雨

3.雷雲の寿命
①一つのセルの寿命は約45分間(発達期、成熟期、減衰期がそれぞれ約15分間)
②多重セルや広域雷雨の寿命は数時間~半日(記録的な大雨をもたらすことも)

4.積乱雲が発生する条件
①気温の鉛直分布において、高度が100m増すごとに0.6度以上の割合で低下していく状態が、気温が氷点下25~30度になる高度(夏で8.5km~10km)まで連続的に続いていること(上空に冷たい空気が流れ込んでいる)
②大気の下層(高度1km以下)がかなり湿っており、上層では比較的乾燥していること(①と合わせて、「大気が不安定」な状態にある)
③下層の湿った空気の塊を、ある程度の高度まで強制的に持ち上げる作用が働くこと(山の斜面を風が這い上がる、下層で空気が寄り集まる風が吹いているなど)

5.備え1(前日からの天気予報と気象情報、当日の雷注意報発表に注意)図2
①前日や当日の天気予報で雷の発生が予想される場合には、天気予報で「雷を伴う」と表現し、天気概況でも「大気の状態が不安定」と解説される
②雷注意報は、雷による被害が発生すると予想される数時間前に発表される

6.備え2(最新情報の収集)図2
気象庁「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」(こちらの「雷」)をチェックする。
①降水ナウキャストで、強いレーダーエコー(橙、赤、臙脂[えんじ、黒味を帯びた赤]で色付け)が近くや風上側にないか
②雷ナウキャストで、活動の強い場所が近くや風上側にないか(雷ナウキャストは、雷の発生の有無に関わらず常時発表され、雷の発生状況の解析と1時間先までの推移の予報が示される)
③竜巻発生確度ナウキャストで、確度の高い場所が近くや風上側にないか
函館山楽クラブ月例会での学習資料(2019年6月・7月)
図2 雷に関する気象情報とその利用(気象庁HP)
~14時から16時に屋外で行動する場合の例~

7.予兆1(夏の午後は積乱雲の発生に注意)
「早朝の青空(蒸し暑い) → 午前中に積雲の発生と発達 → 午後に積乱雲へと大発達(雲頂から朝顔状の濃い巻雲が発生。新たな積乱雲の発生にも注意。積乱雲が近くに迫ると黒い雲として見える) → 発雷 → 夜遅くに星空」という変化パターンに注意を払う[図3]。
函館山楽クラブ月例会での学習資料(2019年6月・7月)
図3 夏の日の雲の変化パターン(出典先不明)

8.予兆2(雷鳴が聞こえたら、電光が見えたら、風や雨が強まったら)
①雷鳴が聞こえる範囲は発生位置から10km~14km
(この範囲内のどこでも落雷の可能性がある。雷鳴が聞こえた時には、すでに落雷の危険域に入っている)
②電光(ピカッ)と雷鳴(ゴロゴロ)との時間差(秒数)に0.3(音速、km/s)を掛けた数字が雷発生地点と自分との距離(km)
③急に冷たい風が吹いてきたら、すぐ風上側に雷雲がある
(この風は積乱雲から吹き出したもので、激しい突風になることもある)
④大粒の雨やひょう、あられが降りだしたら、頭上に雷雲がある
(「ひょう」も「あられ」も空から降ってくる氷の粒で成因は同じだが、気象観測では直径5mm以上のものを「ひょう」、5mm未満のものを「あられ」と言う)

9.予兆3(寒冷前線や気圧の谷、上空の寒冷低気圧の通過による雷雨は時刻を選ばない)
①西の空に積乱雲の「土手(堤防)」が現れたら要注意
②局地的な短時間大雨になりやすい
③寒冷前線や気圧の谷の通過時には風向が南よりから北西に変わり、気温が急降下
④竜巻やダウンバーストなどの突風を伴うことも多い

10.雷が落ちやすい場所
①雷雲の下、半径5~6km以内がほとんど
(ただし、10数km離れた場所に落ちた例もあるとのこと)
②雷は空に向かって突き出た箇所に飛びつく(直撃雷)
(その箇所が止まっているか、動いているかに無関係)
③落雷による電流は、電気を通しやすいものに飛び移る(側撃雷)[図5
(樹木や四阿[あずまや]に落ちて、下にいた人が枝や庇から飛び移った電気で死傷した例が多数)

11.雷による事故の予防
①行動日の前日や当日朝にテレビやラジオ、インターネットなどで天気予報を確認し、「雷を伴う」という表現がある場合は、雷に遭遇した場合に備えた対応を想定しておく(前記の「備え1、2」)
②行動中に「予兆1、2、3」を認めたら、できるだけ早く行動を終える(下山する、小屋に避難する)
③それでも山で雷に遭ったら
ア.すぐに山頂や稜線を離れて鞍部や窪地、斜面の低い所に避難
(沢底は局地的な大雨により、急に増水する危険がある)
イ.移動中はトレッキングポールを頭上より高くかざさず、体に平行に(縦に)持つ
ウ.岩峰や高い樹木の下に立ったりもたれたりするのは非常に危険
エ.小屋に避難した場合は壁や柱から離れ、中央の広い場所で待機する
オ.高さ5~30mの物体(樹木、建物、鉄塔、電柱)の保護範囲[図4
・側撃雷[図5]を避けるため物体から4m以上離れる(コンクリート電柱は2m以上)
・樹木から張り出している葉や小枝からも、必ず4m以上離れる
・物体の頂部を見上げる角度(仰角)が45度以上になる位置が保護範囲
(ただし、高さ30m以上の物体では、物体直下から4m以上30m以内の位置が保護範囲になる[仰角45度は通用しない])
カ.避難の姿勢
・姿勢を低く保つ
・「オ.」項の場所や鞍部、窪地、斜面の低い所で雨具や簡易テント(ポールを立てない)をかぶり、両足の間隔を狭くしてしゃがみ、指で両耳穴をふさぐ
(両足を広げたり地面・岩石に腰掛けたりしていると、落雷時に地面を流れる電流が体内を流れ、負傷することもある)
・トレッキングポールなどの長いものは、縮めて地面に寝かせる
・同行者は側撃雷を避けるため、互いに1~2mの距離をおく
キ.一つひとつの雷雲は直径数kmだが集団で次々と発生するので、雷雲が遠ざかって青空が現れても、安全な場所であれば20分間くらいは動かない
ク.かつては、「金属類(ヘアピン、アクセサリー、金具付きの服、カメラ、腕時計など)が雷を引き寄せるため身体から外すべき」と言われていたが、誤りである。最近は雷時に、人体より電気の流れやすい金属周辺の皮膚に軽度のやけどは負うが、雷の電流の多くが金属に流れる分だけ人体を流れる電流が減り、生存確率は上がると言われている。身につけた金属類の扱いに気を払うより、安全性の高い場所に一刻も早く逃げることが先決
函館山楽クラブ月例会での学習資料(2019年6月・7月)
図4 屋外で直撃雷・側撃雷を避ける方法(出典先不明、A編集)

函館山楽クラブ月例会での学習資料(2019年6月・7月)
図5 樹木に落雷した電流が近くに置いた人形に再放電する「側撃雷」の実験例
(気象庁HP、電力中央研究所提供)




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